不動産登記とは
登記をすることによって自分の所有権を他者に対して、法的に主張することができます。
不動産の売買、贈与などの手続きは、契約の締結だけでは終わりません。登記手続をもって完了します。
登記手続には所有権移転だけでなく抵当権抹消・設定、住所変更などの手続も発生する場合があり、複雑です。早めに専門家に相談することをお勧めします。
不動産登記の流れはおおまかに下記のようになります。
1.申請書作成、必要書類を添付して法務局に提出
(1)不動産登記の申請をするために、必要書類を用意します。登記の種類と必要書類はこちらで確認。売買による所有移転登記申請には、売主と買主でそれぞれ用意しなければならない書類があるので注意しましょう。
(2)申請書に記入し、登記所の申請窓口に提出します。この登記所はそれぞれ管轄区域があるので、法務局に確認を取りましょう。管轄地域外の登記所に申請書を提出しても受理されませんので注意してください。
2.登記官が審査
(1)窓口が申請書を受理すると、登記官が申請書に受付年月日、受付番号を記載します。
(2)登記の申請があった土地または建物の登記記録事項を確認しながら、「申請書の内容が法律に沿っているか」、「登記記録事項と一致するか」、「添付書類が揃っているか」などが審査されます。新築などの場合は、職員が現地に確認に出向くことがあります。また、近隣住民などに現地の状況について質問・調査が行われることもあります。
(3)書類に不備があると、法務局に行って補正する必要があります。(補正をしないと、登記申請が却下されてしまいます)
(4)(2)の調査によって申請に不備がないことが確認されると、申請の内容に従って登記記録などに必要事項が記入されます。
3.登記簿に記載
審査作業がきちんと行われたか、申請された通りに登記が行うことができたかどうかを登記官が再度確認します。処理を正しく行えていたことが確認されたら、登記官が登記官の識別番号を登記記録に記録し、登記が完了します。
4.権利証(登記識別情報通知書)の発行
登記官が権利証(登記識別情報通知書)を作成します。申請者は申請書に押印したものと同じ印鑑を用意して登記所に行き、権利証(登記識別情報通知書)を受け取ります。
この受け取りは登記の完了から3ヶ月以内と限られています。なお、申請書に不備があった場合は職員に従って訂正(この場合は補正という)を行います。
5.登記申請手続きの完了
受け取った権利証(登記識別情報通知書)は、次に何らかの登記を行う際に必要になります。紛失、盗難にあっても、決して再発行はされませんので、大切に保管しておきましょう。
住所や氏名を変更された場合 住所・氏名の変更登記
不動産を所有されている方や不動産についた担保権(抵当権や根抵当権等)の担保権者になっている方が住所や氏名を変更された場合、住所や氏名の変更登記が必要となります。
この登記は強制ではありません。しかし、そのまま登記せずに放置しておくと後々、手続きが面倒になったりする可能性があります。
例えば、所有されている不動産を売却される際にはその変更登記がされていなければ所有権移転の登記をすることはできません。また会社を経営されている方が銀行などから融資を受ける際に、自宅やお持ちの不動産に担保権を設定する登記が必要になりますが、その変更登記がされていなければ担保権を設定する登記をするもすることができません。
要するに、融資を受けることさえできなくなってしまう可能性があります。住宅ローンの借り換えの際の登記手続きも同様です。相続が発生したときも同じように手続きが繁雑になります。
従って、住所や氏名が変わった際にはなるべく早めにそれらの変更登記をすることをお薦めします。この場合、個人で登記申請することももちろん可能ですが、手続きの煩雑さを考えれば司法書士に依頼したほうが手間も時間もかからなくていいと思います。費用も比較的安価に済みますので、安心してご依頼いただければと思います(物件の個数や案件によって費用が変わります)。
住宅ローンを完済された場合
担保権(抵当権・根抵当権など)の抹消登記
住宅ローンを完済すると、ご自宅の土地・建物についている住宅ローンの担保権(抵当権・根抵当権)を消すことができます(担保権の抹消登記)。
しかし、ただ完済しただけで自然に登記簿上の土地・建物についている住宅ローンの担保権が消えるわけではありません。それを消すために担保権の抹消登記が必要となります。
住宅ローンを完済すると、その借入先の銀行などの金融機関から担保権を抹消するための書類が渡されることになります。担保権を抹消すること自体には期間制限はないのですが、
その渡された書類の中に期間が制限されているものがあります。その期間を過ぎてしまうと費用が高くなってしまったり、別途手続きを踏まなければならなくなったりして、時間も費用も手間もかかってしまいます。
銀行などから渡される書類(一般的な例)
・「担保権解除(弁済)証書」
・「代表者事項証明書」または「履歴事項全部(一部)証明書」(これらの書類は発行日より3か月以内の期間制限あり)
・金融機関の委任状
・「原契約書(「登記済み」という赤いハンコが押されたもの)」または「登記識別情報通知(薄い緑色の紙で濃い緑色のシールが一部に貼られているもの)」
※この他にお客様が当事務所にご依頼いただいた場合の委任状が必要となります。その委任状はこちらでご用意させていただきます。
住宅ローンの借り換えをされた場合
新規の担保権設定+既存の担保権の抹消登記
マイホームを購入し住宅ローンを組まれた方は、しばらく経ってから金利が安くなったり、ローンを見直す際に、住宅ローンの借り換えをされる方がいらっしゃると思います。その際にも登記手続きが必要となります。
マイホームを購入されて住宅ローンを組まれた際に、その自宅である土地・建物に住宅ローンの担保権(抵当権・根抵当権)が付けられます。住宅ローンの借り換えの際に必要な登記手続きとは、新たに銀行などから融資を受けて自宅に新たな担保権を付ける登記をし、その融資されたお金を使って、付いている既存の担保権を消す登記が必要となります。
借り換えは登記が融資条件となっていることが大半です。必要な書類は、金融機関との金銭消費貸借契約で要求される書類とご自宅の土地建物の登記済み権利証(現在では登記識別情報通知と言います。)が必要となります。