表示に関する登記

相続

「不動産登記」は大きく分けて二つの種類があり、一つは「表示に関する登記」でもう一つは「権利に関する登記」です。

  1. 「表示(表題)に関する登記」は不動産(土地・建物)の物理的状況、例えば土地であれば、どこに、どれくらいの広さで、どのように利用されている土地があるのかを明確にするための登記であり、「土地家屋調査士」がこれを扱います。
  2. 「権利に関する登記」は不動産(土地・建物)に関する各種権利、例えば、所有権、抵当権、地上権などの保存、設定、移転、変更、処分の制限又は消滅を公示するための登記です。同じ登記ですが、こちらは「司法書士」がこれを扱います。

土地・建物の表示に関する登記は土地家屋調査士の職域になります。ここではおもな土地・建物の登記と測量についてご説明します。

土地登記の種類

土地表題登記
土地表題登記

土地表題登記とは、まだ登記記録(登記簿)が備わっていない土地について初めて登記記録を開設する登記をいいます。土地登記記録の表題部と呼ばれる土地の現状を表示する欄に、所在、地番、地目、地積などが記載されます。

  • 土地を払い下げた方
  • 新たに土地の表示が必要な方など
土地分筆登記
土地表題登記

土地分筆登記とは、登記記録上1つの土地を複数の土地に分割する登記をいいます。1つの土地の一部を分割して売買など有効活用をしたい、相続によって分割することになったなど様々な状況で土地の分筆登記は必要になります。

  • 土地を複数の土地に分割したい方
  • 相続に備え、あらかじめ土地を分筆して紛争回避を考えている方
  • 1つの土地の一部分について売買を考えている方
土地合筆登記
土地合筆登記

土地合筆登記とは、土地分筆登記の反対で、複数の土地を1つにまとめる登記をいいます。土地合筆登記には、所在が同じ、合筆する土地同士が隣接、地目が同じ、などといったいくつかの要件があり、注意が必要となりますので、一度ご相談ください。

  • 相続の前提に合筆されたい方
  • 土地がたくさんあってまとまりがないため、1つの土地にまとめたい方
土地地目変更登記
土地地目変更登記

土地地目変更登記とは、土地の利用目的が変わった時にする登記をいいます。土地の現況や利用目的はあらかじめ登記記録に記載されています。土地地目変更登 記はこの登記地目に変更があった場合、登記されている地目を現況の地目に符号させるためにする登記です。ただし農地(田・畑)を農地以外の地目に変更する 場合、農地転用許可が必要となります。

  • 土地の地目(土地の利用方法)を変更された方
土地地積更正登記
土地地積更正登記

土地地積更正登記とは、土地の面積を正しい数値に改める登記をいいます。登記記録(登記簿)の地積欄に登記された数値が、初めから間違っている場合に正し い地積に改める登記です。(土地には色々な経緯があり、実面積と登記記録の面積が異なる場合があります)土地地積更正登記のために面積を算出するには、境 界を確定する作業が必要となるため、境界確定測量が前提となります。

  • 登記簿の面積を正しくしたい方
  • 実際に測量して計算してみたが、登記簿面積と実測面積が異なる方など

建物登記の種類

建物表題登記
建物表題登記

建物の表題登記とは、建物を新築した場合などに初めて登記記録(登記簿)の表題部を開設し、建物の物理的状況を記録する登記をいいます。建物を新築した場合、その所有者は1ヶ月以内に建物の表題登記を申請しなければなりません。

  • 建物を新築された方
  • 建売住宅を購入したとき
  • 未登記の建物を登記したい方
建物滅失登記
建物滅失登記

建物の滅失登記とは、建物が焼失、取壊し等により滅失した場合に、その建物の登記記録(登記簿)を抹消する登記をいいます。建物の表題登記と同じように、建物が滅失した場合、その所有者は1ヶ月以内に建物の滅失登記を申請しなければなりません。ただし、附属建物が滅失した場合には、建物の表題部変更登記を申請します。

  • 建物の取壊しをされた方
  • 天災などで建物が消失してしまった方
  • 建物が無いのに、登記だけ残ってしまっている場合
建物表題部変更登記
建物滅失登記

建物の表題部変更登記とは、建物の増築や一部取壊しにより床面積に変更が生じた場合や、建物の用途を変更した時に、現況の建物に合わせて登記記録(登記簿)の内容を変更する登記をいいます。また、物置などの附属建物を増築した時などにもこの登記を申請します。

  • 建物の屋根の材質を変更した場合
  • 増築や一部を取壊した場合
  • 附属建物(物置など)を建てた場合
建物合併登記、建物分割登記
建物合併登記、建物分割登記

建物の合併登記とは、建物の現状には何らの変更も加えることなく、登記記録(登記簿)上数個の建物を一個の建物にする登記をいいます。ただし、合併しよう とする建物が、主たる建物と附属建物の関係にないときや、双方の建物の所有者が違う場合には、合併は認められませんし、その他にもいくつかの制限がありま すので注意が必要です。建物の分割登記とは、建物の合併登記の逆で、建物の現状には何らの変更も加えることなく、登記記録(登記簿)上の一個の建物を数個 の建物にする登記をいいます。

  • 同じ敷地内に別々に登記された建物があり一つにまとめたい方
  • 附属建物として登記されている建物だけを売買したい場合
建物の合体による登記
建物の合体による登記

建物合体登記とは、別々に登記された数戸の建物が、増築等の工事により構造上一個の建物となることを合体といいます。建物が合体して一個の建物となった場合には、合体後の建物についての表題登記及び合体前の建物についての表題登記の抹消を申請しなければなりません。ただし、合体前の建物が、主たる建物と附属建物として登記されている場合には、合体の登記ではなく、建物の表題部変更登記をすることになります。

区分建物表題登記
区分建物表題登記

区分建物表題登記とは区分建物(マンション)を新築した時にしなければならない登記です。
マンションなど1棟に数戸の専有部分がある時は、それぞれの専有部分について登記申請することができます。普通の戸建の建物表題登記と同じく、建物の物理的な状況を、登記簿という登記所に備え付けられた公の帳簿に登録する手続きの事を言います。
ここでいう物理的な状況とは、建物の所在・建物の名称・家屋番号・種類・構造・床面積・の事であり、これらを登記簿に登録する事により、どれくらいの大きさでどんな形状の建物なのかが明らかになるわけです。

また、区分建物表題登記では、これに加えて、敷地の権利による割合や規約による共用部分なども登録される場合があります。なお、原始取得者、すなわち、そのマンションを建てた人(会社)は、新たに建物が生じたときから1ヶ月以内に区分建物表題登記を申請しなければなりません。(不動産登記法第47条第1項)

測量とは

測量とは土地、家屋などの面積、形状、高低差、条件などを明らかにする行為です。
つまり測量は、その土地、家屋の価値を明示することと言い換えられます。測量は目的によって現場での作業手段及び方法が違ってきますが、どのような目的の場合でも基本原則として、測量は全体から部分に及ぼすという観点のもとに行われます。

測量をしなければならない理由を簡単に言うと、その対象土地の場所、大きさ、カタチが正確にわからなければ、誰もその土地の価値を認めてくれないからです。
以下のような場合に測量が必要となります。ご参考ください。

土地を売買する場合

土地を売買する時は、登記簿面積で取引する以外は、その土地の隣接者に立会をお願いし、境界を決めて測量し、実測面積にて取引するのが通常です。

土地を分筆する場合

1筆の土地を2つ以上に分割する場合も、やはり土地境界を決めて、測量し、地積測量図を作成して、所轄の法務局に分筆登記申請をします。

相続により土地で納税(物納)する場合

物納する場合は、その土地の隣接する全ての境界を決め、また道路・水路との境界も所轄の役所と立会い、境界を決めて、実測図および境界確認書等を添えて申請する必要があります。

国有地の払下げを受けたい場合

自分の土地に隣接する払下げ可能な国有地があり、その土地の払下げをうけたい場合、その国有地の面積、境界確定が必要となります。

測量の種類

現況測量

現況測量とは、土地の現況(建物の位置やブロック塀の位置など)を測量して図面化するものです。建物を建築する場合などに行われる測量です。

確定測量

(境界)確定測量とは、土地の境界を明確に確定させる測量です。土地の境界を確定させるためには隣接地との立会いを行う必要があります。
また対象地が、道路や河川などに面していて、その境界が未確定の場合は、その道路や河川を管理する国土交通省・県・市町村などとも立会いを行い境界(官民界)を確定させます。
土地分筆登記や地積更正登記を申請する場合は、この測量が原則必要となります。土地境界確定測量とは異なり隣地との境界を確定するものではありませんので境界立会い等は行わないため費用も安く、期間も短くて済みます。

基準点測量

土地登記の業務においては、任意座標点を使った測量から、街区基準点(公共基準点)を使った測量への移行を求められています。
基準点測量とはこれらの登記基準点や街区基準点などの公共座標のある基準点をもとに新しい基準点の位置を求めるもので、当事務所ではその根拠となるべくデータを算出するために、最新のシステムを導入していますので、必要かどうかの判断の段階からお気軽にご相談ください。

境界標の復元測量

工事や災害などにより境界標が抜けてなくなったり、移動してしまった場合に境界標を元の状態に復元するための測量です。
法務局備付けの地積測量図やお客様保管の境界確認書、役所備付けの官民境界協定書等に基づいて、隣接土地所有者皆様の立会いの上、境界標を復元いたします。