土地の売買や相続によって不動産を引き継いだときなどに、土地の測量が必要になります。
土地測量は、土地の面積や形状、隣地との境界をはっきりさせるために行います。さまざまなトラブルを防止するため、不動産取得の可能性がある方は土地測量について理解を深めておきましょう。
この記事では、土地測量の種類やその目的、土地測量を実施する専門家は誰か、そして測量の結果作られる図について解説します。

土地の測量を大きく分けると以下の2つになります。
両者それぞれについて、異なる点や必要になるケースを以下で説明します。
現況測量とは、現状の建物や堀、境界標などを図面化するための測量です。
土地の状態を把握するために行う簡易的な測量で、正確な境界測定はしないため、境界の位置確定はできません。
この測量は、建物の新築用図面の作成やざっくりした面積の確認などが目的で行われます。隣地所有者の立ち合いもなく短時間で済み、次に説明する確定測量よりも安価です。
一般的に、100坪程度の土地の現況測量は10〜20万円程度になると考えてください。
現況測量が必要なのは、以下のようなケースです。
確定測量は、土地の正式な境界をはっきりと定めるためにする測量です。地積と境界線を公的に証明できるようにするために確定測量を行います。
法務局などから書面を集めて調査し、現地では隣地所有者の立ち合いのもとに境界標の探索や数値計測を行います。
確定測量の費用目安は30〜50万円です。極端に面積が広い場合や隣地が多い場合、国や地方自治体が所有する土地と隣接している場合などは、費用は高くなっていきます。
確定測量が必要なのは、以下のようなケースです。
不動産(土地)を売却する際には「買主へ境界線を明示する義務」があるため、費用がかかっても必要経費と割り切って測量するようにしましょう。
確定測量(境界確定)について、行う目的や理由、具体的な流れなどについては以下の記事で詳しく解説しています。

土地測量をしてもらう場合、依頼する相手は「測量士」もしくは「土地家屋調査士」です。
不動産会社へ連絡して相談するか、直接依頼する方法があります。
両者は同じように測量を行いますが、できることや目的が異なるため、以下で簡単に説明します。
測量士とは、工事のために土地の位置や面積、距離などを測る仕事をする人です。国土交通省の国家資格であり、工事において重要な役割を果たす専門家になります。建設工事では必ず測量を行うため、資格を持っていると重宝されるでしょう。
業務内容は大きく「外業」と「内業」があり、外業は建設・土木工事の現場で実際に測量する業務で、内業は予算管理や機器調達、製図、データ分析などのデスクワーク全般です。
ただし、登記業務はできないため、登記目的の測量はできません。純粋に土地の大きさが知りたいという場合に依頼することになります。
基本的には個人からではなく、公共団体からの依頼がメインです。
土地家屋調査士とは、不動産登記のために土地の調査や測量を行う専門家です。
法務省の国家資格であり、測量して登記業務を行えますが、登記を目的としない測量はできません。基本的に個人からの依頼がメインとなります。
南司法行政測量事務所には土地家屋調査士が在籍しておりますので、土地家屋調査業務が必要な方はどうぞお気軽にご相談ください。

土地の測量図とは、隣の土地との境界線を枠としていくつかの四角形に分割し、それぞれの面積を算出する図面のことです。
測量図は土地の売買価格や建築物の大きさ、相続税額などに関わるため、とても重要な図面です。
以下、3つの種類の測量図について、役割を説明します。
境界確定を行った測量図面のことを確定測量図と言います。
確定測量図を作るためには、通常の土地測量をするのと同時に、隣接している土地の所有者と立ち会って境界線を確定しなければなりません。また、道路の所有者である自治体の担当者との立会いも必要です。
土地の売買をする際や土地の相続に伴い相続税としてその土地を物納する際、そして土地を複数の筆に分けて登記する際にも必要となります。
ただし、土地の地価が極端に低いような場合には、確定測量に費用がかかりすぎることから、登記面積で売買契約をするケースもあります。
土地の確定測量ができるのは土地家屋調査士のみです。依頼は多くの場合、不動産業者や弁護士、行政書士などの紹介を通じておこなうことになるでしょう。
確定測量図取得までにかかる期間は、通常1〜3カ月程度ですが、隣地所有者が多い場合やトラブルがあった場合などは1年ほどかかることもあります。
さまざまな条件で費用は上下しますが、100㎡程度の土地で、50〜100万円程度が相場です。
現況測量図とは、測量機器を使って土地の地形や面積、境界線の長さなどの数値データを測り、作った図面のことです。
境界の確定をしていない点が確定測量図と異なり、隣地所有者の立ち合いなどは必要ありません。
現況測量図が必要なケースとしては、所有する土地に建物を新しく建てる場合、相続時など土地の評価が必要な場合、土地の高低差を測ったり真北を調査したりする場合などがあります。
現況測量は測量士が行いますが、通常、個人が測量事務所に直接依頼することはありません。不動産業者や建築業者などの紹介を得ての依頼が一般的です。
測量や作図にかかる期間は概ね3日から1週間ほどです。100㎡程度の土地の現況測量で、費用相場は10〜20万円程度でしょう。
地積測量図とは、法務局に登記された測量図のことです。
法務局では誰でも閲覧や交付が可能であり、3つの図の中では最も簡単に取得できます。
ただし、登記された日付が古い場合には測量の精度が低く、最新の測量図と数値が異なる場合があります。
地積測量図が必要になるのは、土地の分筆や合筆、地積更生をする登記のときです。
地積測量図は法務局の窓口や郵送、インターネットから取得できます。
窓口ではその日その場で入手できますが、1通450円かかりますので忘れず収入印紙で用意しておきましょう。郵送を希望する場合は申請書と収入印紙(1通450円)、返信封筒を添えて法務局へ郵送してください。
インターネットの場合は1通362円と費用が安くなりますが、支払いはクレジットカードのみです。クレジットカードを持っていない場合は他の方法で取得してください。
この記事では土地測量について、その種類や依頼相手、成果物である図の種類などについて解説しました。
土地の売買などでさまざまなトラブルを防止するためには、測量が必要です。確定測量では数カ月以上の時間がかかるため、いざというときに慌てずに済むよう、早めに測量依頼することをおすすめします。
南司法行政測量事務所では土地測量のご依頼やご相談を承ります。お気軽にお問合せください。

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