2024年から2026年にかけ、日本では不動産の登記に関してさまざまな改正があり、実施されます。
義務化に伴い違反者には罰則(過料)も適用されるようになるため、個人で不動産をお持ちの方は、新しいルールや自分がすべきことについて理解しておくようにしましょう。
この記事では、不動産登記についての基本知識や2024年から2026年にかけての新しいルールの内容、複数の登記が義務化される背景などについて解説します。

まずは不動産を手に入れる際に必要な「登記」について、基本的なことを押さえておきましょう。ご存じの方は、復習を兼ねてお付き合いください。
不動産登記とは、土地や建物が「どこにあり」「誰が所有し」「どのような権利関係が存在するか」を記録したものです。
登記の記録がまとめられたものを「登記簿(とうきぼ)」と呼びますが、現代では電子化が進んだため、登記記録とも呼ばれています。
登記は以下のような場面で必要です。
この際にかかる税金は「登録免許税」と呼ばれています。
一般的に、新築の建物が完成したときに行うのが表示登記です。表題部と呼ばれる部分で、建物の所在や家屋番号、建物の種類、構造、床面積などを記載します。建物を建てたら、完成後1カ月以内に申請しなければなりません(不動産登記法第47条)。
この部分の専門家は、土地家屋調査士です。
建物の表示登記は課税対象ではないため、登録免許税はかかりません。
建物や土地の「所有者」を公的に証明する登記で、「対抗力(権利を主張する力)」を得るために行います。
一般的には司法書士に依頼しますが、自分でも申請は可能です。
保存登記は登録免許税がかかりますが、申請は義務ではありません。しかし、不動産の売買や相続の際には必要となるため、ほとんどの方が申請しています。
所有権移転登記とは、不動産を売買・相続・贈与した際に行う登記で、持ち主が移転することを明記します。
「相続登記」は所有権移転登記のひとつです。
相続不動産の名義変更(相続登記)についての流れや準備などを以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
抵当権設定登記は、不動産を取得する際に、銀行でローンを組む場合に必要な登記です。
たとえば、あなたが家を買うために銀行から住宅ローンを組むとします。銀行としては、もしあなたがローンの返済ができなくなった場合に、貸したお金を回収できなくなるリスクがあります。
そこで、銀行は購入する家や土地に「抵当権」を設定するのです。これは、「もしローンの返済が滞ったら、この不動産を競売にかけて、その売却代金から優先的にお金を返してもらいますよ」という権利です。この権利があることで、銀行は安心してお金を貸すことができます。

ではいよいよ、2024年から2026年にかけて施行される不動産登記の新しいルールについて、みていきましょう。
2024年(令和6年)4月1日より、相続登記が必須となりました。
遺言も含む相続で不動産を取得した相続人は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。遺産分割協議の場合も、協議が成立した日から3年以内の申請が義務となっています。
正当な理由なく申請を怠った場合には、10万円以下の過料対象となるため、速やかに登記するようにしましょう。
ちなみに、2024年の4月1日以前に相続を開始しているケースでも、義務化の対象になります。まだ2027年までは猶予期間があるため、相続で不動産を取得した方は早めに登記を済ませてください。
2025年(令和7年)4月21日より、不動産の所有権保存や移転などの登記申請時に「検索用情報」の提出が義務になりました。
これは、登記名義人(不動産の持ち主)の氏名や住所が将来変更された際に、登記官が自動で変更登記できるようにするための制度です。
もともと氏名や住所が変わったときは、自分で変更登記を申請する必要がありました。しかし2026年4月からは変更登記が義務化されるため、怠ると義務違反として過料(罰金)の対象になる可能性があります。
この「検索用情報」を事前に出しておけば、将来変更があっても、登記官が公的情報と照合して職権で変更してくれます。またその場合、登録免許税などの費用も不要です。
個人の場合、氏名変更はともかく住所変更は転居のたびに発生します。あらかじめ「検索用情報」を届け出ることで、手続きの負担や法律違反のリスクを軽減できます。
登記時に、以下の情報の申し出もセットで行いましょう。
【検索用情報の内容】
制度の開始前に不動産所有者となっている方は、別途、検索用情報の申し出をするようにしてください。
オンラインか、登記所に申出書を提出する方法の2つがあります。なお、この申請には登録免許税などの費用はかかりません。
2026年4月1日より、不動産の所有者の氏名もしくは住所の変更があった際の変更登記が義務化されます。
住所・氏名の変更登記は、変更後2年以内にしなければならないというのが新しいルールです。違反した場合、最大5万円の過料が発生する可能性があります。
ただし、2025年から始まっている「検索用情報の提出」を済ませていれば、氏名や住所の変更は登記官が住基ネットを活用し、職権で登記を行ってくれる「スマート変更登記」が利用できます。
不動産登記の住所変更義務化については、その理由や実際のやり方などを以下の記事で解説しています。

かつて相続登記や住所変更などは任意だったため、日本中に持ち主のわからない不動産が大量に発生し、さまざまなトラブルを産むことになりました。
所有者不明の土地が増えると以下の問題が発生します。
所有者がわからないために土地や建物を勝手に触ることができず、道路整備や防災工事が勧められなかったり、買いたい人がいても売却できなかったり、相続の際に遺産分割ができなかったりします。
それらの問題を解消するため、不動産が誰の持ち主であるかを明確にする法改正が行われました。
登記制度のルールが次々と変わる中で、「いっそ権利の登記(所有権保存登記など)も義務化すればよいのでは」と思う方もいるかもしれません。
しかし、権利の登記を義務にすると不都合なケースもあります。
たとえば、自分の土地に現金で建てた建物を数年で取り壊す予定なら、売買や相続もしないため、登録免許税のかかる権利登記をする意味がほとんどありません。
また、必ず亡くなる人間と異なり、法人は事業がうまくいっている限りいつまでも存在し続けます。売却や担保設定の予定がなければ、登記の必要性は低くなります。
こうした例があるため一律の義務化ではなく、少しずつルールを整備しているのです。
所有者不明の土地が引き起こすさまざまな問題を解消していくため、登記の義務化が進んでいます。
不動産所有者も新しく取得しようとする人も、自分はどういった申請が必要であるかを知っておきましょう。
不動産登記や相続については、南司法行政測量事務所までお気軽にご相談ください。お客様にとってベストなサポートをお約束します。

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