不動産の売買などには「土地家屋調査士」という専門職が関わります。その名前は聞いたことがあっても、具体的に何をする人なのかについて、よく知らない方も多いでしょう。
そこでこの記事では、土地家屋調査士について基本的なことを紹介します。土地家屋調査士の役割や仕事内容はどのようなものか、一般の人々が土地家屋調査士に依頼するのはどのような場合なのかについて解説しますので、不動産の取得を検討している方は参考にしてください。

まず、土地家屋調査士は測量法や登記法に精通した専門家で、土地や建物など不動産の登記をするために必要な調査、そして測量を行います。
不動産登記とは、対象不動産の住所や所有者など、物件の詳細を記したものです。この不動産登記には不動産の形や大きさなど物理的な情報を記載した「表題部」と、不動産にどのような権利がついているかを記載した「権利部」の2つに分かれます。その内、表題部を担当するのが土地家屋調査士です。
土地家屋調査士になるためには国家試験に合格しなければなりません。この国家試験には年齢や学歴、実務経験などの受験制限は定められておらず誰でも受験できますが、合格率は低く、令和5年度の合格率はわずか9%程度と狭き門になっています。
参考:法務省「令和5年度土地家屋調査士試験の最終結果について」
土地家屋調査士と似たような職業に「司法書士」と「測量士」があります。土地家屋調査士と関連する職業ではありますが、3つはそれぞれ違った専門家です。
ここで簡単に違いを説明します。
| 管轄 | 資格 | 主な業務 | |
| 土地家屋調査士 | 法務省 | 国家資格 | 表示に関する登記 |
| 司法書士 | 法務省 | 国家資格 | 権利に関する登記 |
| 測量士 | 国土交通省 | 国家資格 | 公共測量 |
司法書士も登記を取り扱いますが、こちらは権利に関しての取り扱いであり、さまざまな書類作成をする法律の専門家です。そして、測量士は登記とは無関係で、簡単に言うと測量のプロです。膨大な数のデータをミリ単位で管理し、図化します。
登記の表題部に関する手続きと筆界特定手続きの代理、またその書類作成は、土地家屋調査士にのみ許可された独占業務です。

では、土地家屋調査士の役割や仕事内容を具体的に説明します。以下が主な仕事内容です。
仕事内容のひとつは、土地の測量です。土地の所在位置、地形、面積などを測量機器を使って測量し、明確に記載した図面を作成します。
これは不動産の表示に関する登記のため、正確な情報が必要になることで実施する現場調査です。昔の地図や資料などの調査もします。
また、実際に測量してみた結果、地図に書かれている内容と実際の物理的状況が異なっていた場合には、土地家屋調査士であればそのまま地図の修正依頼ができます。
土地測量については、その種類や目的、土地測量をする専門家は誰かなどを、以下の記事で解説しています。
不動産の表示登記(表題部の登記)は義務付けられており、不動産の所有者が申請しなくてはなりません。しかしその手続きには専門的な知識と技術を必要とするものが多く、一般の人々が自力で行うのは困難です。そこで土地家屋調査士が、所有者の代わりに申請を請け負います。
以下で、土地や建物の表示登記の種類を紹介しますので、どのような登記があるかを参考までにご覧ください。
| 登記の種類 | 内容 |
| 土地表題登記 | 登記申請のため、土地に区間と地番を設ける。 |
| 土地地積更正登記 | 登記上の更正地積と測量地が異なる場合に正しい地積に更生する。 |
| 土地地目変更登記 | 土地の用途(目的)が変更されたときに登記しなおす。 |
| 土地分筆登記 | 土地の一部の売買や遺産分割などで、1筆の土地を2筆以上に分割するときに行う。 |
| 建物表題登記 | 建物を新築したときに行う。 |
| 建物表題部変更登記 | 建物の状態が変更された際に、登記記録と異なる状態になったときに行う。 |
| 建物分割登記 | 登記上ひとつの建物として扱われている建物を、別個の建物としてする登記。 |
| 建物合併登記 | 登記上別個の建物を、主従関係としてひとつの建物にまとめる登記。 |
| 建物滅失登記 | 建物を取り壊した際に行う。 |
| 区分建物の表示に関する登記 | 分譲マンションなど、区分所有権がある建物の登記。 |
表示に関する登記申請をしたのち、何等かの理由でその手続きが進まない場合には、不動産所有者は地方法務局長に対し不服審査を申し立てられます。これは「審査請求」と呼ばれるものです。
しかしこの申し立ても専門知識が必要なため、土地家屋調査士が審査請求手続きを代理で行います。
筆界とは不動産登記簿上の土地の境界を意味する言葉です。不動産登記で決められた筆界は隣の土地の所有者との話し合いで変更はできませんが、中には筆界がはっきりしていない土地や、現況と異なっている土地があります。
筆界が曖昧だとトラブルに発展するケースが多いため、土地の所有者が筆界特定(一般的に境界確定とも言う)という手続きを行わなくてはなりません。その際に、土地家屋調査士が境界を調査して確定します。
なお、境界確定について、その目的や理由、具体的な流れなどについては以下の記事で解説しています。
土地の境界に関して隣の土地の所有者とトラブルが発生してしまった場合には、まず話し合いをします。しかしそれが決裂すると裁判で争うことになり、時間も費用もかかってしまうため、選択肢としてあるのが訴訟によらずに解決する「民間紛争解決手続き(ADR)」です。
民間紛争解決手続きの代理関係業務ができる能力があると認められた「ADR土地家屋調査士」のみが、弁護士と一緒に紛争解決を進められます。

述べてきたように、土地家屋調査士の仕事内容は多岐にわたります。その中で、一般の人が土地家屋調査士に依頼するような状況は、以下の3つがあります。
建物を新築する際には「建物表題登記」、そして増築する際には「建物表示変更登記」が必要です。その際の測量及び登記手続きをするのが、土地家屋調査士となります。
地目とは、簡単に言うと「土地の使われ方」のことです。土地には宅地や公園、牧場といった23種類の分類があり、すべての土地はいずれかに分類されています。
そのため土地の地目を変更するとは、たとえば今までは空き地だった場所に家を建てたり、田んぼだった土地を駐車場にしたりといったことで、利用目的を変更する際には地目変更登記が必要です。
遺産相続によって土地を分割したり、土地を売却したりする際には調査・測量・境界確定が必要です。土地の正確な面積を算出するため、土地家屋調査士が調査や測量を行います。
不動産の遺産相続については、基本知識や手続きの流れなどを以下の記事で解説しています。
土地家屋調査士とは土地の測量だけでなく、複雑な登記の手続きや土地に関するトラブルの解決にまでかかわる専門職です。
不動産を所有する際や、万が一土地に関するトラブルが発生した際に頼りになる存在として、覚えておいてください。
南司法行政測量事務所には土地家屋調査士もおり、不動産登記や相続、トラブルに関するさまざまなご相談を承っております。まずはお気軽にお問合せください。

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