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生前贈与とは? 基本的なやり方とメリット・デメリットを解説

自分の財産を他の人に譲り渡す方法としては、相続と贈与があります。贈与の中でも、相続税の課税対策や遺産分割対策になるものが「生前贈与」です。


生前贈与には、さまざまなメリットがありますが、同じくデメリットや注意点もあります。そのため、やり方によっては思わぬトラブルや税負担がかかるリスクがあるのです。


この記事では生前贈与について、やり方やメリット・デメリットなど、基本的なことを解説します。

生前贈与は財産を譲り渡す手続きのこと

生前贈与とは、生きている間に自分の財産を配偶者や子、孫などの家族や、法定相続人以外の親しい人、希望する相手に贈与する手続きのことです。先に財産を渡すことで遺産総額が減るため、節税効果があります。


法律的に「贈与」とは、贈与者が「自分の財産を無償であげます」と相手に告げ、相手の受贈者が「ではもらいます」と受け入れることで生じる契約です。贈与が行われると、その金額などに応じて受贈者には贈与税が課税されます。

生前贈与のやり方

しっかりと節税効果を得るためには、生前贈与にもやり方があります。単に「あなたに財産をあげます」と渡すだけでは十分とは言えず、思わぬトラブルが発生してしまうこともあるのです。そのため、できるだけ型通りに進めることをおすすめします。


以下は生前贈与の流れです。

  1. 贈与相手や財産を決定する
  2. 贈与税の課税方法を選択する
  3. 契約書を作成する
  4. 財産を譲り渡す
  5. 税の申告、納税する


自分ひとりの意見で決めるよりも、できるだけ相手の意向も聞いたうえで決定するようにしましょう。


生前贈与には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類の方法があります。どちらにするかを選択し、相続時精算課税の場合は税務署に届け出なくてはなりません。なお、2種類の課税方法については後述します。


贈与に当たっては「贈与契約書」を作成しておくことがおすすめです。きちんと作成された書類があることで、後々の相続人同士でのトラブルを防ぎやすくなるほか、税務署に贈与と認めてもらえない事態も避けやすくなります。


財産の譲渡が済めば、贈与税を納める必要がある場合は申告のうえで納付しましょう。申告は、財産を取得した翌年の2月1日から3月15日の間に行います。

生前贈与と相続の違い

贈与と相続は、自分の財産を譲り渡すという点以外はさまざまなことが異なります。以下に、生前贈与と相続の違いについて表でまとめました。

生前贈与相続
タイミング生きている間亡くなった後
渡す相手自由に選択相続人または受遺者
渡せる内容自由に選択死亡時の財産・負債・一切の権利と義務
税金贈与税相続税
税金の手続き贈与翌年の2月1日~3月15日死後10カ月以内

生前贈与をするメリット

生前贈与の代表的なメリットには、以下のようなものがあります。

  • 節税効果がある
  • 財産を譲る相手や時期が選べる
  • 相続トラブルの防止効果がある

節税効果がある

生前贈与には、相続税や贈与税の節税効果があります。


相続税は亡くなった人が所有していた財産に応じて課税額が決定されるため、遺産を減らしておくと納税の負担も減ります。


一方、贈与税は相続税よりも税率が高く設定されていますが、非課税で贈与できる控除額などがあるため、上手に利用することで節税可能です。


前述したように、贈与税の基本的な制度は以下の「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つですが、その他いくつか非課税特例もあります。

種類内容
暦年課税原則的な課税方法で、1年間に受けた贈与額に対して課税する。受贈者1人当たり110万円の控除がある。(課税は110万円を超えた金額)
相続時精算課税贈与額が2,500万円になるまで非課税となる制度(プラス基礎控除110万円)。60歳以上の親や祖父母から18歳以上の子や孫へ贈与する場合に選択可能。税務署への届け出が必要。


それぞれの制度には、贈与のタイミングや課税部分に関して複雑な決まりがあります。そのため、確実な節税効果を狙う場合は、贈与前に専門家のアドバイスを受けることがおすすめです。

財産を譲る相手や時期が選べる

相続と違い、生前贈与では「自分が贈与したい相手」に財産を渡せます。孫やきょうだい、知人など、相続では財産を渡せない相手に譲りたい場合などでは、生前贈与が便利です。


相続でも遺言書の作成によって財産を渡す相手を指定できますが、法定相続人には遺留分があるため、すべてが思い通りとはいきません。そして遺言書を作成していない場合には、法律によって決められた相続人に遺産が分配されます。


遺産相続における遺留分については、以下の記事で解説しています。

相続トラブルの防止効果がある

家族の関係が良好ではない場合、遺産相続ではトラブルが発生しがちです。もしも相続におけるトラブルが予想される場合は、生前贈与をしておくことでトラブルを防止できる可能性があります。

生前贈与のデメリット

メリットが大きな生前贈与ですが、デメリットもあります。以下、代表的なデメリットをみていきましょう。

  • 死亡3年以内の贈与は相続税の対象になる
  • 税務署に認めてもらえない可能性もある
  • 相続に比べて税金が高くなる場合がある

死亡3年以内の贈与は相続税の対象になる

毎年110万円の非課税枠を使って暦年贈与をしていても、相続が発生する3年以内に行われたものは相続税の対象になります。


たとえば、父親から毎年100万円の贈与を5年間受けていたとします。しかしその父が亡くなってしまい、相続手続きの必要が出てきました。その際、亡くなる3年前に贈与された300万円は遺産に組み込まれることになります。200万円(贈与スタートからの2年間×100万円)については贈与税は非課税ですが、父親が亡くなる直前の300万円(3年間×100万円)については相続税の対象になるため、注意しなければなりません。

税務署に認めてもらえない可能性もある

財産を渡すことに対し、本人たちは贈与であるという認識でも、税務署による調査において実態が異なると判断されてしまうケースがあります。


たとえば、実質的には財産が渡されていない「名義預金」であると判断される場合や、数年に渡っての贈与が「定期贈与」であると判断される場合などです。

名義預金受贈者ではなく贈与者が管理している預金
定期贈与贈与は複数回であるが、契約が1つしかない形態の贈与


親が子どもの口座を作り、そこに振り込んでいるようなケースが名義預金とみなされることが多くあります。その場合、預金管理はあくまでも子でなくてはなりません。


また、贈与契約書を1回作ったのみで1000万円を10年に渡って振り込んだケースでは、1回100万円ではなく1回1000万円と判断されてしまいます。


生前贈与をする際には贈与の事実を立証しやすくなるように、贈与をする度に贈与契約書を作成しましょう。

相続に比べて税金が高くなる場合がある

元々贈与税は相続税よりも高く設定されています。さらに基礎控除額も相続税の方が高いため、安易に贈与してしまうとかえって税金上の損をすることになりかねません。


節税効果を狙って生前贈与する場合には、贈与と相続でどちらが得になるか、まずは自分の財産を把握することが大切です。そしてさまざまな控除なども考慮した上で、計算してみるようにしましょう。

生前贈与の際は専門家への相談がおすすめ

生前贈与に関しては、贈与する財産やその金額、タイミングなどによって節税効果が大きく異なります。


財産を譲る本人と譲られる人との合意やその証明、銀行振り込みによる譲渡、税務署への届け出など必要なことやルールも多くあるため、スムーズかつ効果的な生前贈与をしたい場合は、先に専門家への相談を検討してみましょう。


南司法行政測量事務所では、贈与や相続に関するご相談を承っております。生前贈与に関してわからないことがある、不安があるという方は、ぜひ一度お問い合わせください。

コラム監修者

南昌樹
南昌樹南司法行政測量事務所 所長
土地家屋調査士・司法書士・行政書士3つの資格保持者。1993年(平成5年)に司法書士登録後、30年以上にわたり相続・登記を担当し、96年(平成8年)に行政書士・土地家屋調査士も取得。富山県司法書士会副会長を4期8年歴任し、創業60余年の南司法行政測量事務所を率いる。
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