「終活」という言葉が浸透しつつある現代では、その一環として遺言書を作成する人々も増えています。
遺言書とは、自分の財産を死後にどう分けるかを書いた法的効力を持つ文書のこと。ただし、作成しても法的に無効になったり内容が不十分だったりする場合が多く、無駄になってしまったというケースがあります。
そのようなトラブルを避けるため、遺言書作成に関わる士業のひとつ「司法書士」への依頼がおすすめです。
この記事では、遺言作成において司法書士はどのような範囲で対応できるのか、司法書士に依頼するメリットと注意点、遺言作成までの流れなどについて解説します。
なお、遺言書と遺書の違いに関しては、以下の記事で解説しています。

司法書士とは、法務局や裁判所に提出する書類の作成や、手続きをする法律事務の専門家です。豊富な民法の知識を持っており、登記事務だけでなく遺言作成にも多くのサポートを提供できます。
以下は、その司法書士が対応できる遺言書作成の業務範囲の表です。
| 対応可能・不可 | 業務内容 | メモ |
| 対応可能(〇) | 遺言書の作成支援 | 公正証書遺言書や自筆証書遺言の作成に対するアドバイス |
| 遺言執行者の選任 | 遺言の内容を実行する役割 | |
| 相続登記(不動産の名義変更) | 相続登記の手続き代行 | |
| 遺言書の保管と管理 | 「遺言書保管制度」の利用支援 | |
| 財産目録の作成 | 資料を収集して遺産を詳細なリスト化 | |
| 一部対応(△) | 遺産分割協議書の作成 | 作成支援のみ可、代理交渉は不可 |
| 対応不可(✕) | 相続税の申告 | 税理士担当業務のため |
| 裁判所への申立て(相続争い) | 争い発生の場合は弁護士が対応 |

遺言書を作成するに当たって、司法書士にそのサポートを依頼するメリット、以下の4つをみていきましょう。
遺産の中に自宅や土地などの不動産が含まれる場合、相続登記が必要です。
司法書士は登記のプロであるため、不動産の分配方法などにも的確なアドバイスができるうえに、遺言執行時には不動産登記の手続きがスムーズに完了できます。
以下の記事で、相続不動産の名義変更について、手続きの流れや準備などを解説しています。
司法書士は書類作成や登記手続きの専門家であるため、遺言書作成時の法的なミスを防げます。
遺言には複数の形式がありますが、最も多いのは「自筆証書遺言」です。これは遺言者が自分で遺言書の本文を書いて作成するものですが、形式不備による無効が大変多いタイプでもあります。
【形式不備の例】
また、以下のような曖昧な文言があったために相続トラブルに発展することも少なくありません。
| 遺言書記載内容 | トラブル発生のリスク |
| 「財産は、長男の○○に多めに分ける」 | 多めとはどの程度か、についてトラブルが発生する。「自宅」や「預貯金から3,000万円」など具体的な記載が必要。 |
| 「長女の○○がすべてを管理する」 | 管理には自宅の所有権も含むのか、などでトラブルが発生する。具体的な権利の記載が必要。 |
司法書士に相談することで、上記のような曖昧な表現を排除し、法的に正しく明らかな表現に修正できます。
以下の記事で、遺言書の種類別に作成方法や注意事項などを解説しています。
公正証書遺言書を作る場合など、戸籍や印鑑登録証明書、固定資産評価額証明書などが必要です。
書類は自分で収集可能ですが、たとえば戸籍謄本はどの範囲を取得すればよいかなど判断が必要なものもあり、手間と時間がかかります。そこを司法書士に依頼することで、正確な必要書類をスムーズに収集できます。
また、不動産を含む遺言書を作成する場合には目的の不動産を特定する必要があるため、登記事項証明書の準備が必要です。この登記事項証明書も、司法書士に不動産の所在地を伝えることで代理取得してもらえます。
以下の記事で登記事項証明書について、どのようなものか、その種類や内容、取得方法などを解説しています。
遺言書を作成する際に相談できる専門家には弁護士もいますが、一般的に、弁護士は専門家の中でも費用が高い傾向にあります。
弁護士は法律のエキスパートです。遺言書の作成支援や手続き支援のみならず、相続トラブルの代理交渉や相続税の申告など、対応できる業務内容が多岐にわたります。
特に相続トラブルがあり裁判での紛争解決が必要な場合には、弁護士への依頼が必要です。
一方、トラブルになる可能性の少ない簡単な相続や遺言であれば、司法書士へ依頼することによって費用を抑えられます。

では、遺言書作成を司法書士に依頼する際の注意点についてもみていきましょう。以下の2点です。
弁護士へ依頼することに比べると安価ではありますが、当然ながら費用は発生します。
| 内容 | 費用相場 |
| 相談料 | 無料~3,000円 |
| 遺言書の原案作成 | 5~15万円 |
| 親族関係図の作成 | 1万円前後 |
| 遺言執行者の報酬 | 相続財産の1~3%程度 |
上記の費用は財産総額や個別事情によっても前後します。また、必要書類の取り寄せ費用や公証人との打ち合わせ費用、遺言書の保管料など、遺言書の作成費用に含まれている場合もあれば、別途請求されることもあります。
事務所によって異なりますので、報酬には何が含まれているかは、契約前に確認するようにしてください。
司法書士は法律専門家ではありますが、相続関係の業務すべてに対応できるわけではありません。
前述の表に記載したように、遺産分割協議で補助はできますが代理業務はできませんし、相続トラブルの紛争解決も業務内容ではありません。相続税についてのアドバイスも担当外です。
そのため、司法書士への依頼は以下のようなケースでおすすめします。
遺言書作成の一連の流れは以下の通りです。
まずは事務所で遺言書の種類や必要性を相談しましょう。相談は無料の事務所も多くあります。
相続人の範囲や財産内容を確認したら、司法書士が遺言の内容を整理し、必要書類を集めます。自筆証書遺言では、司法書士が作成した原案を参考にして本文を書いても構いません。公正証書遺言書の場合は、先に原案を作成してから公証役場へ行くことが一般的です。
法務局の保管制度を活用する場合の申請書も作成も、司法書士に依頼できます。自筆証書遺言の場合は、遺言執行者を決めましょう。
遺言書は、ご自身の想いや財産を正確に伝えるための大切な手段です。しかし、法的に有効な内容でなければ、残されたご家族に思わぬトラブルを招いてしまう可能性もあります。確実で安心な遺言書を作成するには、法律の専門家である司法書士への相談が欠かせません。
南司法行政測量事務所では、相続や不動産登記に精通した司法書士が在籍し、ご相談者様一人ひとりの状況に合わせた丁寧なサポートを行っています。遺言書の作成だけでなく、その後の相続手続きや登記までワンストップで対応できるのも大きな強みです。
将来への不安を減らし、大切なご家族のために「今できる準備」を始めませんか。遺言書作成に関するお悩みは、ぜひ南司法行政測量事務所にご相談ください。
なお、遺言書に関する具体的なサポート内容については、南司法行政測量事務所の「相続・遺言業務のご案内ページ」までどうぞ。

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