「親が亡くなったあと、きょうだいで遺産トラブルが発生した」そのような話を耳にしたことはありませんか?実際、相続の手続きでは感情のもつれや誤解が生じやすく、家族がギクシャクしてしまうことも少なくありません。
「何から始めればいいの?」「法律的な手続きはどうするの?」と戸惑う方も多いでしょう。
この記事では、親の遺産相続における基本的な流れやよくあるトラブルの回避法をわかりやすく解説します。

親が亡くなったあとにすべきことはたくさんありますが、その中のひとつ、遺産相続は避けて通れない大切な手続きです。全体の流れを把握するため以下の4つのステップに分け、順にご説明いたします。
最初に行うべきは、遺言書が残されていないかの確認です。故人が自分の財産を誰にどれだけ譲るかを記載した遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。
遺言書が見つかった場合、基本的にはその内容が法定相続よりも優先されることから、遺産分割の方法が大きく変わることがあります。自筆証書遺言は家庭の中に保管されていることもあるため、通帳や重要書類と一緒に保管されていないかを探しましょう。
遺言書がない場合には、民法で定められた遺産を相続できる人(=法定相続人)が遺産を引き継ぎます。民法では配偶者は常に相続人となり、それに加えて子どもや親、兄弟姉妹が順位に応じて相続人になります。
戸籍を調査し、法定相続人が誰なのかを正確に把握しましょう。認知された子や、前婚の子どもがいる場合など、戸籍を確認しなければわからないケースもあります。
以下の記事で遺言書と遺書の違いや遺言書の種類、法的効力の内容などを解説しているのでご覧ください。
次に、相続対象となる財産の調査です。遺産相続の対象となる財産には、預貯金や不動産、有価証券などのプラスの財産だけでなく、借金や未払いの税金といったマイナスの財産も含まれます。
財産の内容を正確に把握するためには、通帳や登記簿、借用書、保険証券などを確認し、財産目録を作成するとスムーズです。
相続人と財産の内容が明らかになったら、次に遺産をどう分けるかを相続人全員で話し合います。これが「遺産分割協議」です。
協議の結果は「遺産分割協議書」として書面にまとめ、全員の署名・押印を行います。なお、一人でも納得しない相続人がいると成立しないため、慎重な話し合いが必要です。
遺産分割協議書について、必要なケースと不要なケース、作成のポイントや注意点などについては以下の記事で解説しています。
協議がまとまったら、不動産や預貯金などの名義変更を行い、実際に財産を引き継ぐ手続きへ進みます。
相続税の申告・納付が必要な場合は、相続開始から10か月以内が期限です。早めに税務署や税理士に相談することで、思わぬトラブルや負担を避けられます。
ただし、相続税は相続した財産の額から借金や葬式費用などを差し引いたりした後の額が、基礎控除額を上回るときのみにかかるものです。この基礎控除の額は3,000万円+(600万円×法定相続人数)であり、実際に相続税がかかる方の割合は多くありません。令和5年に相続税がかかった方の割合は、亡くなられた方の9.9%程度であると財務省のサイトに記載されています。
参考:財務省「身近な税」https://www.mof.go.jp/tax_information/qanda005.html
遺産相続手続きの流れと期限や期間については、以下の記事で解説しています。
遺産相続手続きに必要な種類については、以下の記事で解説しています。

親の遺産相続では、兄弟姉妹などの相続人同士で感情の行き違いが生じ、トラブルに発展することも少なくありません。ここでは、実際によく見られる相続トラブルと、それぞれの対処法について解説します。
「長年親の介護をしてきたのに、相続で他のきょうだいと同じ割合なのは納得できない」このような声は、相続トラブルの代表例のひとつです。
民法上、相続は基本的に法定相続分に基づいて均等に分けることになります。しかし、介護などで親の生活を支えてきた人が「もっと多くもらいたい」と感じるのも無理はありません。
こうしたケースでは、介護などの貢献度を金銭的に評価する「寄与分」という制度の検討をおすすめします。遺産分割協議の中で、他の相続人と合意できれば、寄与分を反映した配分も可能です。
なお、トラブル防止のために、介護日誌や出費の明細などの記録を事前に残しておいたり、早めに専門家を交えて協議したりすることも有効です。
遺言書が発見された結果、「内容に偏りがある」「自分がまったく相続できない」などと不満を感じるケースもあります。
有効な遺言書がある場合は、その内容が原則として優先されるため、たとえ法定相続人であっても、財産は遺言の通りに分けなくてはなりません。
ただし、相続人には一定の遺産を保障する「遺留分」という権利があります。たとえば、遺言で「すべての財産を長男に」と記されていても、他のきょうだいや配偶者が遺留分侵害額請求を行うことで、一定割合の財産を請求できる可能性があるのです。
遺言内容に納得できないときは、感情的になって独断で行動することなく、まずは弁護士などの専門家に相談し、法的に正当な手続きをとることをおすすめします。
遺産相続における遺留分とその割合や計算方法については、以下の記事で解説しています。
相続人の中に音信不通になってしまった人がいる場合、遺産分割協議を進められません。なぜなら、相続人全員の同意が必要であるため、一人でも連絡がつかないと協議書が無効になるからです。
このような場合、まずは戸籍や住民票の附票をたどって現住所を調査し、可能な限り連絡を試みましょう。それでもどうしても連絡がつかないときは、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる方法があります。
また、相続人が海外にいるケースや、意図的に協議を無視している場合も含め、スムーズに進めるには司法書士や弁護士と連携しながら法的手続きを取るのが安全です。

親の遺産相続では、つい無意識にやってしまいがちな行動が、後々のトラブルにつながることがあります。特に注意したいのは以下の3つのケースです。
親の預金を勝手に引き出す行為は要注意です。預金の引き出しは、原則として相続人全員の合意を得たうえで行う必要があります。
また、相続放棄を焦って決めることも避けるべきです。一度相続放棄が認められると原則として撤回できないため、3か月の熟慮期間内に遺産をよく調査し、慎重に判断することが大切です。
さらに、書類の準備や手続きを後回しにしてしまうこともリスクになります。さまざまな手続きには期限が定められており、期限を過ぎると延滞税や手続き不能などの不利益が生じることもあります。
親の遺産相続は法的な手続きに加え、兄弟姉妹との人間関係や感情も絡む繊細な問題であるため、焦らず正しい順序で進めることが大切です。
特に、遺言書の確認や相続人の確定、相続財産の調査など、最初の段階でミスがあると、その後の手続きすべてに影響します。不安なまま進めるよりも早めに専門家へ相談し、正確なアドバイスを受けることが安心への近道です。
南司法行政測量事務所では、司法書士と土地家屋調査士の両方の視点から、相続手続きだけでなく、不動産の名義変更や境界の調査まで一括でサポートできます。「誰に相談すればいいかわからない」「手続きを一度で終わらせたい」とお悩みの方も、ぜひお気軽にご相談ください。
なお、遺産相続や遺言に関する具体的なサポート内容については、南司法行政測量事務所の「相続・遺言記業務のご案内ページ」までどうぞ。

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