遺産相続が始まったとき、忘れてはならないのが「自動車」です。自動車も相続財産であるため、その所有者が亡くなった際には相続が必要となります。
そして相続した自動車の名義変更時に、相続を証明するために重要なのが「遺産分割協議書」です。
この記事では、自動車の相続において遺産分割協議書が必要となるケース、不要なケース、そして遺産分割協議書の書き方、相続の際の注意点などについて解説します。

まずは自動車を相続するために、遺産分割協議書が必要な以下3つのケースをみていきましょう。
なお、遺産分割協議書がどのようなものか、その内容や作成する際のポイントについては以下の記事を参考にしてください。
査定額が100万円を超える普通自動車の相続には、遺産分割協議書が必要です。
車の名義変更は陸運局または運輸支局で行いますが、その手続きで遺産分割協議書が求められます。
査定額100万円以上の普通自動車の相続手続きに必要な書類は、それぞれ以下の通りです。
【相続人の中の1人が単独で相続する場合】
【相続人が共同で相続する場合】
このとき、遺言によって決められた人が相続する場合には、遺言書も必要です。
また、管轄の運輸支局によって他にも書類が必要になることがあります。名義変更をする際にはお住まいの場所を管轄する運輸局のホームページで、あらかじめ必要なものをご確認ください。
乗る人がいない、もしくは自動車に価値がない場合など、廃車にする際にも遺産分割協議書は必要です。
これは車が登録制度によって管理されているため、車検証に記載された名義人が法的な所有者として扱われるからです。名義人が亡くなっている場合は手続きができないため、まずは相続人に名義変更をして自動車の正式な所有者になってからでないと、廃車の受付をしてもらえません。
同じく、自動車を売却するときにもまずは名義変更をしなくてはならないため、遺産分割協議書が必要です。
なお、遺産分割前の遺産は基本的に相続人全員の共有となります。つまり、遺産分割せずに自動車を売却するのであれば、相続人全員の共有名義とする手続きをしなくてはなりません。しかしその場合は手続きが煩雑になるため、相続人の誰かひとりに名義人を決め、売却を済ませるケースが多く見られます。
以下の2つの場合は、遺産分割協議書は必要ありません。
自動車が100万円以下の場合には、遺産分割協議書ではなく「遺産分割協議成立申立書」を用意すれば良いとされています。
「遺産分割協議成立書」とは、遺産分割協議が成立したという事実を伝えるもので、100万円以下の自動車の相続手続きを簡略化できる書類です。遺産分割協議成立書を利用する場合には、相続する自動車の価格が100万円以下であることを確認できる査定書、または資料の写しなどを添付しましょう。
軽自動車の相続による名義変更は、普通自動車に比べ簡単です。遺産分割協議書と遺産分割協議成立書はどちらも必要ありません。
なお、軽自動車は普通自動車とは異なり、登録や名義変更は軽自動車協会になります。
軽自動車の相続で名義変更に必要な書類は、以下の通りです。
ナンバーの変更をしない場合は名義変更の手数料がかかりません(書類収集の費用は必要です)。ナンバー変更もする場合は準備する書類が増えるため、軽自動車協会に問い合わせましょう。

遺産分割協議書では一般的に、遺産分割のすべての内容を記載しますが、ここでは自動車を相続する場合の遺産分割協議書の書き方を紹介しましょう。
【書き方】
遺産分割協議書
令和〇年〇月〇日(1)、所有者〇〇〇〇(2)の死亡により相続を開始し、相続人全員で遺産分割協議を行った結果、次の自動車を〇〇〇(3)が相続することに協議が成立しました。
自動車登録番号:〇〇〇〇〇〇〇〇(4)
車台番号:〇〇〇〇〇〇〇〇(5)
相続人 〇〇〇〇
住所 〇〇県〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇-〇〇(6)
氏名 〇〇〇〇 実印(7)

画像出典:遺産分割協議書(富山運輸支局)
なお、運輸支局が提供している雛型はダウンロードできます。自動車の名義変更だけ先に進めたい場合などは、利用がおすすめです。
自動車を相続する際の、注意点をみていきましょう。
まず、相続による自動車の名義変更は、相続発生後、速やかに行わなければなりません。道路運送車両法では、所有者の変更があったときはその事由があった日から15日以内に移転登録の申請をしなければならないと定められています。なお、期限を過ぎると50万円以下の罰金となる恐れもあるため、期間には注意しておきましょう。
また、亡くなった方とは違う場所で車を管理する場合には、新しい住所での車庫証明も必要です。こちらは所轄の警察署で手続きしますが、申請から交付まで1週間程度かかるため、早めに申請することをおすすめします。
さらに、自動車保険の名義変更も忘れないようにしましょう。
自動車保険の証券には契約している損害保険会社、証券番号、契約者、所有者などが記載されています。保険会社に連絡し、所有者が亡くなったことによる名義変更の手続きを行ってください。
相続による自動車の名義変更をする場合に遺産分割協議書が必要かどうかは、自動車の種類によって異なります。普通自動車か軽自動車か、査定額が100万円以上か以下かがポイントですので、まずはそこを確かめましょう。
自動車の遺産分割だけであれば、運輸局の様式に従うと比較的簡単に完了できるかと思います。ただし、本来の遺産分割の対象は自動車だけではありませんので、少しでも不明な点がある場合には専門家への相談を検討してください。
南司法行政測量事務所では、司法書士・行政書士・土地家屋調査士が創業60年以上のノウハウを駆使し、相続や登記、遺言に関するお客様のサポートをいたします。さまざまなご不安やご心配を解決するため、相続について悩みがある方は、ぜひ一度お問い合わせください。
なお、遺産相続に関する具体的なサポート内容については、南司法行政測量事務所の「相続・遺言業務のご案内ページ」までどうぞ。

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