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任意後見人は本当に必要?つけるべき人・必要ない人の違いを解説

老後の生活設計や財産管理を考えたとき、「任意後見人って、本当に私に必要なんだろうか?」と疑問に感じる方は多いでしょう。


結論からお伝えすると、任意後見人は「すべての人に必須」ではありません。しかし「自分の人生の最終盤まで、自分の意思と希望を反映させたい」と考える人にとっては、極めて重要で代替のきかない備えとなります。


本記事では、任意後見人制度が「どんな人に特に必要か」を具体的なケースで解説し、さらに契約をしない場合に直面する3つの致命的なリスクを明確にします。制度を理解したうえで、あなたやご家族に本当に必要かどうかを一緒に考えていきましょう。

任意後見人が「必要な人」5つのケース


任意後見制度は、判断能力が低下した後の財産管理や介護・医療に関する意思決定を、「事前に自分で決めた人」に委ねるための制度です。

ここでは、特に任意後見契約の必要性が高い以下5つのケースを解説します。

  • 自分で後見人を選びたい
  • 将来の判断能力低下に備えたい
  • 家族に財産管理を任せたくない
  • 老後資産を確実に守りたい
  • 公的手続きを代理してほしい

なお、任意後見人制度や後見人について、制度の内容やできることは以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。

自分で後見人を選びたい

将来的に判断能力が低下したとき、「誰に財産を任せるか」を自分で決めておきたい人にとって、任意後見制度は大きな安心につながります。


法定後見制度では家庭裁判所が後見人を選びますが、必ずしも家族や信頼できる人が選ばれるとは限りません。任意後見契約の締結により、自分の意思で“信頼できる後見人”を選び、契約内容も細かく指定できるというメリットを受けられます。

将来の判断能力低下に備えたい

高齢や病気で判断力が衰える可能性がある場合、早めの備えが大切です。


認知症の発症などによって銀行口座が凍結されたり、不動産の売却ができなくなったりすることがあります。


しかし、任意後見契約を締結しておけば、判断能力が低下した後でも生活費の管理や施設入居の手続きなどを後見人が代行できるため、安心を得られるでしょう。

家族に財産管理を任せたくない

家族との関係が複雑な場合や、財産管理でトラブルを避けたい場合にも、任意後見は有効です。


「子どもに負担をかけたくない」「相続時に家族間でもめたくない」という思いから、第三者の専門職後見人(司法書士・弁護士など)を指定する方も増えています。


感情的な関係を避け、客観的な立場から財産を適切に管理してもらえる点が、この制度の安心材料です。

老後資産を確実に守りたい

持ち家や複数の口座、不動産収入などがある場合、老後の資産管理は複雑になりがちです。


任意後見契約では、契約書で「どの財産をどのように管理してほしいか」を具体的に決められるため、資産が散逸したり不正に使われたりするリスクを防げます。


たとえば「定期預金の管理」「不動産の維持」「賃貸契約の更新」など、日常生活を支える部分まで委任可能です。

公的手続きを代理してほしい

役所への申請や医療・介護契約などの公的な手続きは、年齢を重ねると負担が大きくなります。


任意後見人は、本人の意思を尊重しながらこれらの手続きを代理できるため、介護保険の申請や施設入居の契約などがスムーズに行える点が魅力です。


「自分が動けなくなったとき、誰が代わりに動いてくれるか」という不安を解消する制度ともいえます。

任意後見人が「必要ない」または「まだ早い」ケース


任意後見制度は強力な備えですが、すべての方にとって最適解とは限りません。状況によっては「まだ早い」、あるいは「他の制度で十分」というケースも存在します。


以下2つのケースは、任意後見契約の必要性が低い、または代替手段を検討すべきケースです。

  • 家族が円満で財産がシンプル
  • 「民事信託」や「財産管理委任契約」で足りる

家族が円満で財産がシンプル

家族関係が良好で、財産が複雑でない場合は、任意後見契約を急ぐ必要はありません。


たとえば、主な収入が年金と預貯金のみであり、相続人が明確、さらに関係が良好の家族の協力が得られるといったケースです。家族間で定期的に話し合い、将来の希望を共有しておけば、すぐに契約を結ばなくても安心して生活を続けられるでしょう。

「民事信託」や「財産管理委任契約」で足りる

任意後見と似た仕組みに「民事信託」と「財産管理委任契約」があります。

制度名主な目的任意後見との決定的な違い
財産管理委任契約判断能力がある間に、財産管理を委任する。判断能力が低下すると原則終了するため、認知症への備えとしては不十分。任意後見への「つなぎ」として併用されることが多い。
民事信託(家族信託)特定の財産(不動産など)の管理や承継を目的とする。「身上監護(生活・介護に関する契約)」ができない。介護施設への入居契約や医療同意の代理はできない。


制度ごとの違いを理解したうえで、最も合った方法を選びましょう。

任意後見制度を利用しない場合の3大リスク


任意後見契約を結ばずに高齢期を迎えると、思わぬトラブルが起こることがあります。


制度を利用しない場合に考えられる、以下3つの主なリスクをみていきましょう。

  • リスク①:資産凍結と不動産取引不能
  • リスク②:後見人を選べない
  • リスク③:自分の希望が反映されない

リスク①:資産凍結と不動産取引不能

判断能力が低下すると、銀行口座が凍結されたり、不動産の売買・契約更新などができなくなったりします。これにより引き起こされるのは、生活費が引き出せない、施設入居費が払えない、不動産を処分できないといった問題です。


この凍結状態を解除するには、家庭裁判所に法定後見制度の申立てを行い、後見人を選任してもらうしかありません。申立てから後見人選任までには数ヶ月の時間と申立て費用がかかり、その間、資産は事実上、動かせない状態が続くことになります。

リスク②:後見人を選べない

任意後見契約がないまま判断能力を失うと、家庭裁判所が成年後見人を選任します。


しかし、その後見人は本人や家族が希望する人とは限らず、第三者(司法書士・弁護士など)が選ばれることも多いのが現実です。「自分が信頼する人に任せたい」という思いを叶えるには、任意後見契約を元気なうちに結ぶ必要があります。


なお、任意後見人契約の流れや必要書類、費用などは、以下の記事で解説しています。

リスク③:自分の希望が反映されない

法定後見人の職務は、本人の財産を保護し、最低限の生活を維持するための身上監護(法律行為)を行うことです。


法定後見制度下では、本人の趣味や生きがいに関する支出、介護施設選びにおける細かい希望、ペットの世話(里親探しや費用管理など)に関する具体的な意向といった、「本人の人生の質(QOL)」に関わる部分まで柔軟に反映させることは難しい場合があります。

任意後見人が必要か迷ったら専門家に相談を

任意後見契約は、本人の意思を反映できる有効な制度ですが、すべての人に当てはまる万能な仕組みではありません。


判断のポイントは「自分の将来をどう託したいか」。契約書の内容次第で権限や範囲が変わるため、専門家と相談しながら進めることが重要です。


南司法行政測量事務所は、不動産登記や測量といった専門知識も有しております。「将来、実家を売却したい」「所有している土地をどう管理するか」といった不動産に絡む複雑な財産管理についても、具体的なアドバイスを提供できます。


ぜひ一度、あなたの「備え」に関する疑問や不安をご相談ください。


なお、任意後見に関する具体的なサポート内容については、南司法行政測量事務所の「任意後見業務のご案内ページ」までどうぞ。

コラム監修者

南昌樹
南昌樹南司法行政測量事務所 所長
土地家屋調査士・司法書士・行政書士3つの資格保持者。1993年(平成5年)に司法書士登録後、30年以上にわたり相続・登記を担当し、96年(平成8年)に行政書士・土地家屋調査士も取得。富山県司法書士会副会長を4期8年歴任し、創業60余年の南司法行政測量事務所を率いる。
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