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任意後見人のデメリットとは? 制度の注意点と併用したい3つの対策

将来の認知症リスクなどに備えるため、任意後見制度を検討する方にとって、メリットだけでなくデメリットを理解しておくことは非常に大切です。


どんな制度にも欠点は存在します。ぜひ注意点も理解し、検討の参考にしてください。


この記事では、任意後見人がもつ8つのデメリットと、任意後見制度をおすすめしたい人はどのような人かについて解説します。


なお、任意後見人とは何か、できることやなれる人については、以下の記事で解説しています。

任意後見人のデメリット8つ


任意後見人が持つ8つのデメリットは以下の通りです。あなたにとってデメリットになるかどうかを確認していきましょう。

  • 契約書の作成方法や時期が決まっている
  • 本人が行った契約の取消権がない
  • 死後の財産管理はできない
  • 契約は自動的に開始されない
  • 利用に費用や手間がかかる
  • 契約書に記載がないことはできない
  • 必ず任意後見監督人が要る
  • 開始後の解約は困難

契約書の作成方法や時期が決まっている

これは「後見人」というより「制度」のデメリットですが、任意後見制度を利用するに当たっては契約書の作成が必要です。また、契約書は法務省令で定める様式の公正証書によって作成しなければなりません。


さらに、任意後見契約を締結できる時期も決まっており、それは「判断能力が低下する前」、つまり利用者が元気なうちだけです。判断能力が低下してからの任意後見契約は結べず、判断能力の有無は公証人が医師の診断書や関係者からの説明などを参考にして判断します。


つまり、任意後見契約は「いつでも簡単・手軽にできる契約」ではないと知っておきましょう。

本人が行った契約の取消権がない

任意後見人には取消権がありません。そのため、たとえば判断能力が低下した本人が高額な買い物やリフォームなどの契約をしても、任意後見人には取り消せないということです。


これは、任意後見制度が本人の自主性を重んじる制度であるためです。しかし本人にとって不利になる契約や行為を取り消せないことは、結果的に大きなデメリットになると言えるでしょう。

死後の財産管理はできない

任意後見制度はあくまで存命中に本人の財産や権利を守るためにあります。そのため、本人の死亡によって自動的に契約が終了します。


任意後見人は埋葬や遺品整理、相続に関するサポートなどはできないため、死後の財産管理を行うためには任意後見契約以外の手段を考えなければなりません。


具体的には以下のような方法があります。

  • 死後事務委任契約
  • 家族信託
  • 遺言

それぞれの内容については記事後半で解説しています。


なお、遺言書と遺書の違いについてやその法的効力内容などは、以下の記事で解説していますのでご覧ください。

契約は自動的に開始されない

本人の判断能力が低下しても、任意後見契約は自動的には始まりません。まずは家庭裁判所に任意後見監督人の選任申立を行う必要があります。


通常、申立から任意後見監督人が選任されるまでは1カ月程度の時間がかかります。

利用に費用や手間がかかる

任意後見契約は公正証書で作成するため、その手間や費用が必要です。また、任意後見監督人選任の申立てにも費用がかかるうえに、利用を開始すると任意後見監督人への報酬が発生します(任意後見人への報酬は無償の場合がある)。


そして前述した通り、後見監督人の選任には時間がかかります。


なお、任意後見制度にかかる主な費用については以下の記事で解説していますので、参考にしてください。

契約書に記載がないことはできない

後見人は、最初に締結した契約書に書かれていること以外はできません。追加項目が生じた際にはその都度新しく契約書を結ぶ必要がありますが、その時点で判断能力が低下していると新契約は困難です。

必ず任意後見監督人が要る

任意後見制度の開始には、任意後見監督人が必ず選任されます。この任意後見監督人とは、任意後見人が本人に代わって健全に契約履行をしているかどうかを確認する人です。


任意後見監督人は任意の人間を候補として申立可能ですが、実際に選任するのは家庭裁判所です。専門的な知識が必要とされるため、多くの場合に弁護士や司法書士、社会福祉士などが担当します。


選任された監督人が後見人と相性が悪い場合など、後見人に精神的負担がかかることもある点が、後見人にとってのデメリットです。

開始後の解約は困難

任意後見制度は一度開始すると解約は困難です。契約解除を希望する場合、家庭裁判所に正当な理由を述べて解約の許可を求めなくてはなりません。


たとえば、任意後見人が遠方に引っ越しをする、または後見人が重い病気にかかったなど、本人の保護ができない理由があれば契約解除許可がおりる可能性が高くなりますが、それでも複雑な手間と時間がかかります。


また、任意後見人に本人の財産を私的流用するなどの不正な行為が認められた場合などは、後見人の解任が可能です。

任意後見制度のデメリットを補える可能性が高い制度


解説してきたさまざまなデメリットの中には、他の制度を利用することでマイナス面を補えるものがあります。


併用の検討をおすすめするのは、以下3つの制度です。

  • 死後事務委任契約
  • 家族信託
  • 遺言

死後事務委任契約

本人が亡くなったあとに生じる事務手続きを、第三者に委託する契約です。


任意後見制度では死後の手続きはできないため、この死後事務委任契約もしておくと安心でしょう。


葬儀、納骨、埋葬について、そして相続などお金の手続きについても自分が選んだ人に託せます。

家族信託

家族のひとりに財産管理を任せる仕組みが家族信託です。こちらは家族を受託者にするため、任意後見監督人は必要ありません。


ただし受託範囲は限られており、信託財産のみの管理となります。また、管理はあくまで財産のみで、日常生活の面倒や保護、介護などには対応していません。

遺言

判断能力が低下する前に遺言を作成することで、本人が亡くなったあとの遺産の処理について希望を反映できます。


任意後見人を遺言執行者に指定しておけば、相続に関する手続きも対応してもらえます。


なお、遺言書の作成方法や種類、作成時の注意事項などについては、以下の記事で解説しています。

任意後見制度の利用をおすすめしたい人


見てきたように、任意後見人や制度が持つデメリットは複数あります。では、どのような人なら利用するのに向いているかを紹介しましょう。


以下のような人にはおすすめの制度です。

  • 自分で後見人を選びたい人
  • 障害をもつ未成年の子どもがいる人

自分で後見人を選びたい人

最も制度に向いているのは、自分で後見人を選びたいと希望している人です。


たとえば配偶者・子ども・きょうだい・両親がいない、または身内はいるけれども頼れない、といった人の場合、自分が信用できる人に将来の財産管理などを任せられるため、安心を得られるでしょう。


任意後見人になれる人は法律で一定の制限がありますが、基本的には自分の好きな人を選べます。

障害をもつ未成年の子どもがいる人

未成年かつ障害を持つお子さんがいる人も、任意後見制度は向いています。


自分が判断能力を失ってしまった場合、障害を持つ子の保護や支援ができなくなる恐れがあるためです。早いうちから親族や弁護士、司法書士などの専門家と任意後見契約をしておくと、将来のリスクが軽減できます。

任意後見人が持つデメリットもしっかり理解しよう

任意後見人には、取消権がないことや契約内容の変更が難しいこと、後見監督人との相性が悪い場合は負担になることなど、いくつかのデメリットがあります。これらを理解したうえで、任せる範囲をあらかじめ整理しておくことが重要です。


また、任意後見人は本人の死後の手続きまでは行えないため、他の制度との併用を検討することで不安を補うことも検討しましょう。


南司法行政測量事務所では、任意後見人の選び方や契約内容の整理だけでなく、他制度との組み合わせも含め、状況に応じた備えを丁寧にサポートしています。


任意後見に関する具体的なサポート内容については、南司法行政測量事務所の「任意後見業務のご案内ページ」をご確認ください。

コラム監修者

南昌樹
南昌樹南司法行政測量事務所 所長
土地家屋調査士・司法書士・行政書士3つの資格保持者。1993年(平成5年)に司法書士登録後、30年以上にわたり相続・登記を担当し、96年(平成8年)に行政書士・土地家屋調査士も取得。富山県司法書士会副会長を4期8年歴任し、創業60余年の南司法行政測量事務所を率いる。
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