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生前贈与は登記までがセット! 放置すると危険な3つのトラブルと注意点

生前贈与で不動産を渡すとき、登記(名義変更)まで意識していらっしゃるでしょうか。


実は、「契約書を作った」「税金を払った」だけで安心してしまい、登記を後回しにしている方は少なくありません。しかし、登記をしないまま放置すると、相続時のトラブルや権利関係の混乱など、思わぬ問題につながる可能性があります。


そこでこの記事では、生前贈与の登記がなぜ重要なのか、放置するとどんなトラブルが起きやすいのか、そして自分で手続きする際のつまずきやすいポイントなどについて解説します。

生前贈与の登記の「後回し」はリスクがある

生前贈与は「契約書を書いて終わり」「税金を払えば終わり」と考えている方がいらっしゃいますが、実はそれだけでは不十分です。


不動産の場合、贈与の事実を第三者に示すためには、登記簿上の名義をきちんと変更しておく必要があります。


「登記はあとでまとめてやればいい」「今は忙しいから後回しでいい」と考えている方も多いですが、実際にはこの“後回し”がトラブルの原因になることがあります。


大切なのは、生前贈与の後はできるだけ早い段階で登記まで済ませることです。


以下の記事で、生前贈与に伴う名義変更の具体的な流れや必要書類について解説していますので、あわせてご覧ください。

生前贈与の登記で起きがちな3つのトラブル


生前贈与の手続きにおいて、最も避けたいのは「贈与したつもり」で終わってしまうことです。登記を後回しにしたことで実際に発生した、3つの代表的なトラブル事例を見ていきましょう。

①:先に納税して登記が後回しになったケース

意外に多いのが、贈与税の申告と納税を済ませたことで「すべて完了した」と勘違いしてしまうパターンです。


税務署は「お金(税金)」の申告を受け付けますが、法務局の「名義(登記)」まで自動で書き換えてくれるわけではありません。納税だけ済ませて登記を放置している間は、第三者から見れば「不動産の所有権は親(贈与者)のまま」なのです。


この間に、万が一贈与者が借金を抱えて不動産を差し押さえられた場合、受贈者(もらった人)は「税金も払ったし自分のものだ」と主張しても、法律上は認められないリスクがあります。


納税=法的な所有権の確定ではない、という点に注意が必要です。

②:家族に話さず進めて、相続時に揉めたケース

他の親族に内緒で生前贈与を行い、登記をせずに数年が経過したあとでトラブルが噴出するケースです。


特に親が亡くなり相続が発生した際、他の相続人が「実は贈与を受けていた」という事実を知ると、「不公平だ」「特別受益(生前の不公平な利益)にあたる」など、場合によっては反発を招く原因になります。


登記を速やかに行っていれば「公的な事実」として確定しますが、あやふやな状態で放置すると、のちに親族間での遺産分割協議が泥沼化することもあります。最悪の場合は裁判に発展することもあるでしょう。


生前贈与の準備として、家族への説明もしっかり行っておきましょう。

③:登記しないまま贈与者が亡くなってしまったケース

もっとも深刻なのが、贈与契約はしたものの、登記をしないまま贈与者が亡くなってしまったケースです。


贈与者が亡くなった後に登記を行う場合、「亡くなった人の相続人全員」の協力(実印や印鑑証明書)が必要になるのが原則です。もし他の相続人が「そんな贈与は聞いていない、自分たちの取り分だ」と主張して実印を押してくれなければ、もはや通常の登記申請はできません。裁判手続きを経なければ名義変更ができなくなる恐れがあります。


不動産の生前贈与は「契約から登記」まで終えて、はじめて意味を持つと考えるべきです。

自分で登記する場合につまずきやすい3つのポイント


生前贈与の登記は、書類をそろえれば自分で申請することも可能です。


ただし、実際にやってみると「思ったより難しい」「途中で止まってしまった」という声も少なくありません。


ここでは、特に多くの人がつまずきやすい3つのポイントを紹介します。

登記識別情報の扱い

登記申請には、贈与者がその不動産の正当な持ち主であることを証明する「登記識別情報(または登記済権利証)」が必須です。この登記識別情報が必要になるのは、家を売ったり誰かに贈与したりするときであるため、そう何度も目にするものではありません。


そこでつまずくのが、「そもそもどこにあるか知らない」という紛失トラブルや、昔の「紙の権利証」と今の「12桁の英数字(登記識別情報)」が混在していて、どれが有効な書類か判断できないケースです。


もし紛失している場合は、司法書士による「本人確認情報」の作成など、個人では対応が非常に難しい複雑な代替手続きが必要になります。

住所・氏名変更登記の未処理

「贈与の登記(所有権移転登記)」を申請する前に、必ず確認しなければならないのが「登記簿上の住所と、現在の住民票の住所が一致しているか」という点です。


たとえば、以下のようなケースでは登記簿上の住所と現在住所が一致しないことがあります。

  • 結婚や離婚で姓が変わった
  • 引っ越しをして住所が変わった
  • 何度も転居して履歴がつながらない

この場合、まずは前段階として「住所変更登記」や「氏名変更登記」を先に済ませなければなりません。

共有・持分・境界が絡むケース

贈与したい土地が「共有名義」であったり、その一部(持分)だけを贈与したりする場合、申請書の書き方は一気に難解になります。


また、測量事務所としての視点で特に注意が必要なのが、「土地の境界」です。生前贈与を機に、将来のトラブルを防ぐため境界をはっきりさせようとしたところ、隣地との境界が未確定で登記がスムーズに進まないというケースもあります。


なお、土地測量の境界確定については、以下の記事でその目的や一連の流れなどを解説しています。

生前贈与の登記はいつやるのがベスト?

生前贈与の登記は、「贈与契約を交わした直後」に行うのがベストです。法務局の名義を書き換えない限り、第三者に対して「自分のものだ」と主張できないため、時間を置くほど差し押さえや紛失などのリスクにさらされます。


また、贈与税の申告(翌年2月〜3月)まで待つ必要もありません。先に登記を済ませることで、贈与の事実が公的に裏付けられ、税務申告もスムーズに進みます。

 
何より、親の判断能力が低下すると手続き自体ができなくなる恐れがあるため、意思疎通が確実な「今」この瞬間に完了させることが、将来の負担を最小限に抑える秘訣です。

司法書士・土地家屋調査士に依頼する価値


生前贈与の登記は自分でも手続きできますが、不動産の状況によっては専門家に依頼した方が結果的にスムーズで安心なケースも多くあります。


司法書士は、贈与契約や登記書類の内容に不備がないかを確認し、法的に有効な形で手続きを進める専門家です。


また、土地の境界や表示に関する問題がある場合は、土地家屋調査士が測量や確認作業を行い、登記の前提条件を整えてくれます。


単に書類を作るだけでなく、後から無効にならないか、将来トラブルにならないかといった点まで含めてチェックしてもらえるのが、専門家に依頼する大きなメリットです。


以下の記事では、司法書士に生前贈与の依頼をすべきケースや費用相場について解説しています。

生前贈与の不動産登記はできるだけ早めにすることが重要

不動産の生前贈与は、契約を交わして税金を払えば終わりではありません。「登記」を完了させて初めて、その不動産の所有権を公的に証明できるようになります。


「親が元気なうちに」と、生前贈与を選んだのであれば、その目的を果たすためにも登記まで一気に済ませてしまうのが一番の安全策です。


自分たちだけで進めるのが不安な場合や、土地の境界がはっきりしないなどの懸念がある際は、ぜひお早めに南司法行政測量事務所までご相談ください。後のトラブルを未然に防ぎ、スムーズに資産を引き継げるようサポートいたします。


不動産登記に関する具体的なサポート内容については、こちらのページをご覧ください。

コラム監修者

南昌樹
南昌樹南司法行政測量事務所 所長
土地家屋調査士・司法書士・行政書士3つの資格保持者。1993年(平成5年)に司法書士登録後、30年以上にわたり相続・登記を担当し、96年(平成8年)に行政書士・土地家屋調査士も取得。富山県司法書士会副会長を4期8年歴任し、創業60余年の南司法行政測量事務所を率いる。
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